家族信託の活用で柔軟な財産管理が可能となる
家族信託とは何ですか?
預貯金や不動産といった財産を持つ人が、自分の介護や老後などの特定の目的のために、それらの管理や出し入れを信頼する家族に託すことを「家族信託」と呼びます。
古い時代の日本においては、信託銀行などが営利目的で行う商事信託と、信託報酬を得ることのない民事信託の2つが主流とされていました。
しかし大きな信託法改正の入った2007年以降は、民事信託の運用が明確になったことで、受託者の親族や家族が行う財産管理がより簡単になったのです。
家族信託はどんなことができるのでしょう?
2017年現在の制度では、成年後見制度・委任契約・遺言の一本化に近いイメージで家族信託が行えるようになっています。
こういった機能を持つ家族信託を活用すると、個別の契約書ではなく1枚の書面で手続きを済ませられます。
また被相続人が高齢者の場合、病気や認知症、障害などによって遺言に欠かせない意思判断能力が低下するリスクもありますので、元気なうちに家族信託を行うことで早期の対策が可能となるのです。
家族信託の仕組みとは?
家族信託の仕組みは、財産を所有している委託者と、その管理を行う息子などの受託者、管理対象となる信託財産の3本の柱で成り立っているといっても過言ではありません。
例えば、委託者である父親と受託者の息子が信託契約を結ぶと、預金や不動産といった信託財産の運用・管理・処分をする権利を与えられる仕組みです。
また受益者でもある父親は、その財産から利益を獲得する権利も持ち合わせる形となります。
家族信託に適したケースと使い方
前述のとおり将来的に被相続人となる親や祖父母が高齢となり、判断能力の低下によって相続問題が生じそうな時、家族信託という方法が非常に役に立ちます。
また明らかに遺産相続で揉め事が起こりそうな家族内において、被相続人が遺言書を書こうとしないケースでも、家族信託が適していると考えられます。
この他に近頃では、配偶者との死別や離婚によってひとり暮らしをしているお年寄りも増えていますので、離れて暮らす相続人が財産の把握や管理のできない状態に不安を抱えるケースにおいても家族信託という選択肢が有効と言えるでしょう。
家族信託の手続きや制度において不明点がある場合は、相続問題の解決実績が豊富な弁護士に相談をしてみてください。