相続の名義変更費用は経費になるのでしょうか?
相続による名義変更費用は経費になるのでしょうか?
亡くなった被相続人の遺産相続手続きをする人の中には、「少しでも安く費用を抑えたい」と考える方々も非常に多く見受けられます。また相続人が会社経営をしている場合は、「名義変更にかかる費用を経費計上できないか?」と考えるのも自然なことだと言えるのです。今回は、相続遺産が「売買の場合」と「事業用資産である場合」の2つに分けて、相続人の皆さんが抱える疑問の答えを導き出していきます。
売買をする場合
相続による登記費用は、「相続での取得のための費用」と判断します。そのため、相続財産の売却を行った時には、登記費用を取得費と考えることができるのです。譲渡所得の計算では、売価から譲渡費用と取得費の合算を差し引く形となりますので、相続登記を行うことで譲渡所得が下がると捉えて良いでしょう。
ちなみに取得費は、「実額での取得関連費+実額での取得原価」もしくは「売価×5%の概算取得費」のいずれかから採用する仕組みとなっています。先祖伝来の相続財産の場合は、後者の選択をするケースが多いようです。この場合は、実額での取得費となる登記費用の算入ができない形となりますが、概算取得費の方が有利であれば、こちらの数字で割り切るのが理想と言えるでしょう。
事業用資産の場合
事業用となる財産の相続をした場合は、不動産所得や事業所得の計算をする上で、取得関連日を必要経費として考えます。このケースでは、相続をした後の資産の方途によって経費計上の扱いが変わる仕組みです。また事業用資産相続の取扱いは、平成17年2月1日の最高裁判決にもとづいて認められた取得費となりますので、一般の皆さんにとって考え方が少し難しい存在となっているようです。
まとめ
遺産相続手続きで行う名義変更費用は、相続対象となる遺産の内容や方途などによって経費計上の判断が変わってきます。この部分を誤ると節税効果が得られなくなることもありますので、少しでも不明点がある場合は法律の専門家に相談するのがいちばん良いと言えるでしょう。