相続時精算課税制度が孫も利用できる形となりました
目次
相続時精算課税制度が作れた理由とその内容とは?
相続時精算課税制度は、親から子への贈与をスムーズに行うことを目的に作られた制度です。
例えば、100歳で親が亡くなったタイミングで遺産相続を行なっても、その子供も70歳~80歳といった高齢に達していると、せっかく相続した財産を使ったり活用法を考えることすら難しくなる実態があるのです。
こういった状況を防ぐために作られた相続時精算課税制度は、もっと早いうちに子供への財産移行をスムーズに進めることを可能とする仕組みとなっています。
相続時精算課税制度を利用する上での贈与者と適用対象財産の条件とは?
相続時精算課税制度を利用する上では、対象財産を持っている贈与者が1月1日において60歳以上であるという条件が必要です。
贈与財産の内容や種類、回数については制限がありません。
相続時精算課税制度の受遺者の中に孫も加わりました
平成27年1月1日の改正により、贈与者の孫も相続時精算課税制度を利用できるようになりました。
従来の相続時精算課税制度では、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であり、贈与者の推定相続人であるという条件が必要となっていました。
これに対して平成27年1月1日の改正後は、前述の条件にプラスして孫も相続時精算課税制度を利用対象となったのです。
受遺者が孫の場合はどのように相続時精算課税制度を取扱うのでしょうか?
相続時精算課税制度を利用する場合は、受遺者が誰であっても一律20%の税率がかかる仕組みとなります。
そのため、贈与を受けた孫が支払う贈与税は、「(贈与された金額 - 控除分の2,500万円) × 20%」の式で計算をしていきます。
相続時精算課税制度を使って孫が贈与を受ける場合の注意点
相続時精算課税制度を選択して孫が贈与を受ける場合、相続人ではないのに相続税の計算対象になってしまいます。
またこの制度利用時には、相続開始時に足し戻して計算をする必要が出て来るため、その結果として孫が相続をする場合は相続税が2割加算される形となってしまうのです。
この他に、被相続人からの遺贈もしくは相続によって財産を取得した人のうち、配偶者、父母、子供以外の方々なども相続税額が2割加算となるため注意が必要です。
贈与を行う上で非常にメリットの高い相続時精算課税制度ですが、孫がこの仕組みを使う上で疑問や不安材料がある場合は、相続関連問題に強い弁護士に相談をしながら今後の方向性を考えてみてください。