相続税がゼロなのに代償分割で贈与税がかかるケースとは?
代償分割で相続税はゼロ円!しかし贈与税がかかることもある!
代償分割に関する情報サイトの多くは、遺産分割協議書に代償金と記載すれば、基本的に贈与税はかからないと書いています。
しかし実際にこの方法を使って遺産相続を行った人のブログの中には、「民法上で代償分割が成立していても、税法上は贈与税がかかることもある」という内容の記事も存在するのです。
今回は、こうした体験談を参考にしながら、「どんな時に代償分割で贈与税がかかってしまうのか?」という皆さんの疑問を解消していきます。
代償分割を行う際に確認すべき3つの注意点
前述のとおり、代償分割を行う上で最も注意すべきなのは、遺産分割協議書の中で代償分割の証明を行うことです。
この記述がなければ、その背景にどんな事情があっても税務署から贈与があったと判断されてしまいます。
また代償分割で他の相続人に現金を渡す際には、特定の相続人が相続した遺産に相応しい内容であることも大事な条件となります。
例えば、被相続人が所有している不動産の価値が5,500万円であった場合に、「姉には遺産相続手続きでいろいろお世話になったから」といった私的な事情で6,000万円の現金を渡してしまうと、この差額となる500万円が贈与として判断されてしまうのです。
最後に不動産の相続をする特定の相続人に現金がない場合は、他の不動産や株などで代償分割を行うこともできます。
しかし現金以外で代償分割を行うと、売却したとみなされることによって所得税がかかりますので、注意が必要です。
代償分割で贈与税がかかりやすいケースとは?
こうしたトラブルが最も起こりやすいのは、特定の相続人と被相続人の間で生前贈与があったケースです。
前述の事例で考えれば、相続対象となるのは土地と建物の価値となる5,500万円のみです。
しかし生前贈与が行われていた場合は、被相続人が亡くなる前に贈与した自分の固有財産から代償分割を行おうとするため、民法上の解釈と税法上の考え方に相違が生じてしまうと捉えてください。
また被相続人が亡くなったことで入ってくる生命保険金についても、代償分割における問題に関係します。
生命保険金の受取人は、兄弟姉妹などに対して「自分だけが多くの保険金をもらって申し訳ない」という想いで、代償分割の際に多くの現金を渡し相殺しようと考える傾向があります。
しかしこうした考えで渡した相続対象以上の現金には贈与税がかかってきますので、受取人固有の財産となる生命保険金には大きな注意が必要と言えるでしょう。