縁を切って実家と疎遠になった親子に相続は発生しますか?
縁を切った疎遠の親子にも遺産相続は起こる
親兄弟とのトラブルによって長年連絡を取ることもない断絶状態に陥っていても、遺産相続は発生します。
それは日本に、親子の縁を切る=勘当という法律がないからです。
今回は、親から既に勘当を告げられていたり、全く交流のない被相続人が亡くなった時のイメージについて、皆さんと一緒に確認をしていきます。
公正証書遺言がある場合は、連絡が来ない可能性も考えられる
被相続人となる親が、強い効力のある公正証書遺言を生前に作っている場合は、断絶状態の子供に連絡が行かないまま、相続手続きが行われることもあります。
しかし被相続人が亡くなったことを金融機関が知ったタイミングで行われる口座の凍結については、相続人全員の署名実印がなければ解除が行われないこともありますので、公正証書遺言が存在していても連絡がくる場合もあると捉えて良いでしょう。
遺言書がない場合に考えられること
亡くなった被相続人に不動産や預貯金、借金といった相続すべき何らかの遺産がある場合は、遺産分割協議書の中で相続人全員の了承合意を経て名義変更などを行える仕組みとなります。
例えば被相続人となる親が亡くなって、残された配偶者である母と兄弟3人で遺産分割をすると仮定します。
このケースで長男が断絶状態の場合は、他の相続人からすれば「長男抜きで遺産を分けてしまいたい」という想いがあるかもしれません。
しかし公正証書遺言のない遺産相続は基本的に、相続人の全てに連絡をとって行う形となりますので、絶縁や勘当といったことを家庭内で行っていても、被相続人が亡くなった時には残された家族のコミュニケーションが必要になると言えるでしょう。
断絶状態の相続人の行方が掴めない場合は?
長きに渡って断絶状態が続いていて、一部相続人の行方や連絡先がわからなくても、残された遺族だけで勝手に相続手続きを進めることはできません。
その相続人の連絡先が調査をしてもわからない場合は、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てた上で代襲相続などを行う必要も出てきますので、「居場所が不明」といった理由は通じないと捉えて良いでしょう。
遺産相続手続きにおけるこうした実態を考えると、相続問題を悪化させないためにも、家族の関係は良好に保つのが理想と言えそうです。