複数の遺贈がある時遺留分減殺の順序はどうなるのでしょうか?
遺留分減殺請求とは?
遺言書の存在によって兄弟姉妹以外の法定相続人の遺産分割で不利な状況が生じる場合、法律によって留保された相続財産の割合を請求することを、遺留分減殺請求と呼びます。
この制度は創設された目的の中には、残された法定相続人の生活を保障するといった意味合いもあるようです。
遺留分減殺請求は基本的に、遺留分権利者となる法定相続人が相続開始もしくは減殺すべき遺贈もしくは贈与があったことを知った時から1年の間に、自分で請求手続きを行う形となります。
遺留分減殺請求の手続きと方法
遺留分減殺請求を行う際には、まず受贈者もしくは受遺者となる相手方に対して、内容証明郵便などを使って意思表示をする必要があります。
また遺言執行者が存在する場合は、その人にも減殺請求権を行使する旨を知らせておく必要があるのです。
ちなみに家庭裁判所の調停で遺留分減殺請求を行う際には、裁判所での申し立てだけで満足しては手続きが中途半端となりますので、どんな時でも必ず相手方に意思表示をすることを忘れないようにしてください。
遺留分減殺の順序
民法1033条では、遺留分減殺請求の対象となる複数行為がある場合、いちばん最初に遺贈、それでも足りない時には贈与に対して行うことが可能と定めています。
この考え方には、贈与に関しては遺贈よりも前に財産移転が行われることにより、相続が始まった段階に近い遺贈から遺留分減殺請求を行うという意味があるようです。
また死因贈与と生前贈与においては、先に前者を遺留分減殺請求の対象とするという過去の判例もありますので、法定相続人が気になる財産から請求可能なわけではないことを頭に入れておくようにしてください。
またこうした民法上のルールをまとめると、遺留分減殺請求のできる順番は下記のとおりになります。
1. 遺贈や特定財産を特定の相続人に相続させる内容の遺言
2. 死因贈与
3. 生前贈与
また遺贈が複数存在している場合や、相続と遺贈の旨を記載した遺言が同時に存在している場合については、その目的となる価額の割合に応じた遺留分減殺請求が必要だと民法1034条で定められています。
まとめ
遺言書による相続や贈与、遺贈といったことが複数行われている場合、多くの相続人がその手続きや順序に頭を悩ませる傾向があります。
しかし前述のとおり遺留分減殺請求には相続開始から1年間という期限が設けられていますので、その順序や方法で行き詰まっている時には早めに相続問題に詳しい弁護士に相談をした方が良いと言えるでしょう。